デザインと聞くと、多くの人はロゴやWebサイト、広告などを思い浮かべるのではないだろうか。
実際、デザインという言葉は「見た目を整えること」として語られることが少なくない。
しかし近年では、サービスデザイン、業務デザイン、組織デザインなど、従来の枠組みを超えた領域でも「デザイン」という言葉が使われている。
なぜなのか。
その答えを探るために、まずは「デザイン」という言葉の語源から考えてみたい。

Designという言葉は、ラテン語の「Designare」に由来すると言われている。
Designareには、
印をつける
計画する
意図を示す
といった意味がある。
つまり本来のデザインとは、単に美しく見せることではなく、「意図を形にすること」なのである。
この視点で考えると、デザインの対象は見た目だけではない。
人の行動や体験、意思決定の仕組みそのものも、デザインの対象になり得る。
かつて企業が競争力を高めるために重要だったのは、優れた製品を作ることであった。
しかし現在は状況が変わっている。
機能だけでは差別化が難しくなり、企業は「体験」で競争するようになった。
その結果、デザインの対象も広がっている。
例えば、
プロダクトデザイン
UXデザイン
サービスデザイン
業務デザイン
組織デザイン
などである。
企業は「何を作るか」だけでなく、「どのような体験を提供するか」を考える必要があるからだ。
サービスデザインの代表例としてよく挙げられるのが、Airbnbである。
Airbnbは単なる宿泊予約サイトではない。
彼らが向き合ったのは、
「どうやって宿泊施設を増やすか」
ではなく、
「知らない人の家に泊まる不安をどう解消するか」
という課題であった。
レビュー機能や本人確認、ホスト情報の充実など、ユーザーが安心して利用できる仕組みを設計することで、新しい宿泊体験を生み出した。
Airbnbが設計したのはサイトではなく、「信頼」だったと言えるかもしれない。
デザインは業務の世界にも存在する。
代表的な例が、Toyota Motor Corporationの生産方式である。
TPS手法(トヨタ生産方式)は、トヨタ自動車が確立した経営哲学・生産管理手法
であり、TPSを構成する重要な概念は、
「ジャストインタイム」と「自働化」の2つである。
トヨタは単に自動車を作っているわけではない。
ムダを減らし、改善を繰り返すための業務プロセスそのものを設計している。
現場で起きる課題を見つけ、仕組みを改善し続ける。
これはまさに業務デザインの考え方である。
業務は自然発生するものではない。
誰かが意図を持って設計した結果なのである。
デザインの対象は組織にも広がっている。
Netflixは有名なカルチャーデックを通じて、「自由と責任」という文化を社内に浸透させた。
ルールを増やすのではなく、社員が自律的に判断できる環境をつくる。
それは組織文化を設計する試みでもある。
組織もまた、人が集まる場であり、意図を持って設計することで成果が変わる。
FeatUでは、デザインを職種ではなく「意図を形にする営み」と捉えている。
グラフィックデザイン。
UXデザイン。
サービスデザイン。
業務デザイン。
組織デザイン。
扱う対象は異なるが、本質は同じである。
そこには必ず、「誰かの未来を少し良くしたい」という意図が存在する。
デザインとは見た目を整えることではない。
意図を形にすることである。
そして、その意図はWebサイトやロゴだけではなく、サービスや業務、組織の中にも存在している。
だからこそ、デザインはデザイナーだけのものではない。
事業をつくる人も、組織を率いる人も、業務を改善する人も、すべてがデザインに関わっている。
私たちは、その可能性をもっと広く捉えていきたいと考えている。
次は、実践のステージへ。