インタビュイー:翼祈(たすき)さん|TANOSHIKA Webライター/AKARI執筆者
インタビュアー:FeatU
福岡県久留米市の就労継続支援A型事業所「TANOSHIKA」に所属するWebライター、翼祈(たすき)さん。
自社メディア「AKARI」で1000記事以上、noteでも1000記事近くを書き続けてきた彼女は、日々言葉と向き合いながら、多くの読者へ情報を届けている。
なぜそこまで書き続けられるのか。
取材を通して見えてきたのは、「誰かの希望の光になりたい」という揺るぎない思いだった。
記事制作へのこだわり。
社会との向き合い方。
そして、言葉に託す願い。
今回は、翼祈さんが考える「書くことの意味」について話を伺った。
■プロフィール:言葉をAKARIにするWebライター
ライター歴は4年。自社メディア「AKARI」で1019記事、noteで推定1000記事以上を執筆(2025年10月時点)。
左耳感音性難聴、発達障害(ASD・ADHD・LD)、特性を抱えながらも、毎日出勤し、上司とFace to Faceで密にコミュニケーションを取りながら、自社メディアの方針を築いている。
彼女の根底には「会社のルールが変わっても揺るがない確固たるもの」があり、それが「難しても、すごく楽しい。」という印象を受けた。それが、彼女の生き方と文章への思いを支えているのではないかと感じた。
・就労継続支援A型事業所「TANOSHIKA」:https://tanoshika.jp/
・自社メディア「AKARI」:https://akari-media.com/
・自社メディア「AKARI」の翼祈(たすき)さんの記事:https://akari-media.com/author/tasuki/
・就労継続支援A型事業所「TANOSHIKA」広報誌:https://tanoshika.jp/magazine/
・翼祈(たすき)さんのnote:https://note.com/akariwriter3

FeatU: 文章を書くようになったきっかけは?
翼祈:始まりは2006年、ネット掲示板でのコメントのやり取りです。その後、mixiのコミュニティでも交流するようになり、文章を書くこと自体が趣味になり、楽しさを知りました。スマホに機種変更したのは4年前ですが、2009年からブログを書いていて、2023年春頃まで書いていました。Webライターデビューは2021年10月11日ですが、Webライターとブログを一時期並行で活動していました。
大きなターニングポイントは、中学生の時です。歴史が好きで、歴史をテーマにした作文コンクールで賞を受賞したんです。その賞状を見た両親が「賞なんて取れるなんて思ってなかった」と、すごく驚き、そして喜んでくれました。その驚きが、今でも心に残っていて、「自分にもできることがある」という自信になりました。
FeatU: 子どもの頃はどんな子でしたか?そして、社会との断絶を感じた瞬間は?
翼祈: 子どもの頃は落ち着きがなく、遊園地に行っても両親の目を盗んで、すぐいなくなってしまう子でした(笑)。でも今は、発達障害の特性である「過集中」や「こだわり」を仕事に活かし、記事を書くために座っていられるようになりました。
社会との断絶は、発達障害と診断されたときです。情報がなかったため、「自分だけが苦しんでいる」「稀少な障害なのかもしれない」と絶望し、約10年間引きこもりになりました。現在は友達は全くいないのですが、学生時代に唯一つながっていた友達とも疎遠になってしまいました。mixiで他の友達の楽しそうなやり取りや、Facebookで“キラキラした投稿”を見ると、劣等感と寂しさで心が沈んでしまい、ブロックしてしまったこともあります。
状況が変わったのは、父が怪我をしたのがきっかけでした。「家族を支えたい」「働かなきゃ」という強い決意が生まれました。劣等感や寂しさといったネガティブな感情ではなく、「家族を支える」という使命感が、私を突き動かしました。
FeatU: Webライターの仕事で、特に意識している工夫やこだわりはありますか?
翼祈: 以前はものづくりのA型事業所で働いていましたが、全然成果が上げられずモヤモヤしていました。そんな時、TANOSHIKAの求人を見て、パソコンを使う「Webライター」という仕事を知り、「これだ!」と強く惹かれたんです。一般的には、障害者がPC仕事をするのは幼少期からの訓練が必要で難しいと言われますが、どうしてもやりたかった。
仕事では、自分の発達障害の特性を逆手に取っています。「過集中」と「こだわり」があるため、放っておいても書けるくらい、この仕事が好きなのです。
作業効率: 4時間の勤務時間の中で、4〜5記事を書き上げることもあります。
記事へのこだわり: 記事の情報収集だけでなく、タイトルとアイキャッチがパッと見てすぐ理解できるように、タイトルとアイキャッチがマッチすることを意識しながら選んでいます。また、記事と内容がマッチするように細かく工夫しています。
他の人が会社のルールの変更に戸惑う中でも、私は記事の情報を探すとき、タイトルで内容を判別できるほどの確固たる土台が、この4年間で築けました。

FeatU: 障害や病気、社会課題を、記事ではどう言葉にしていますか?
翼祈: 私は現在、11個の既往歴を抱えています。当事者だからこそ、誰かの心の灯りになれたらいいなという思いで書いています。AKARIのバナーにある“暗闇の中に灯る光”のように、生きづらさや心の苦しさに寄り添う記事を届けることが私の使命です。
しかし、このテーマは非常に難しく、何度も壁にぶつかっています。以前、とある障害について書いた時、「少し違う」とのご指摘を受けました。私は寄り添っているつもりでしたが、書くことで傷つく人がいること、知らないことがかえって相手に寄り添うことになる場合もあると痛感しました。1000記事以上書いても、このテーマの難しさに力不足を感じています。
だからこそ、糖尿病の薬害や、難病の原因に関する最新ニュースなど、「少しでも社会に広めていきたい」「誰かの希望の光になりたい」という強い思いで、記事を書き続けています。
FeatU: 読者との“共感”が生まれた瞬間について教えてください。
翼祈: たくさんコメントを頂いているわけではないのですが、読者に届いたと感じたエピソードはあります。
遠位型ミオパチーの治療薬のニュース記事を自社メディアAKARIの公式X(旧Twitter)で更新したところ、「希望の光が見えた」とコメントをもらえたとき、本当に嬉しかったです。
映画『わたしのかあさん ―天使の詩―』について記事にした際、映画の公式サイトで「AKARIで紹介された」と書いてくれたこと。
noteでは、自身の病気である汗疱皮膚疾患について書いた記事が、当初は読まれなかったにもかかわらず、今はTop3に入る人気記事になりました。
自社メディアで支援団体の記事を書いたことで、「取り上げてくれてありがとう」と言われたことも、私にとっての“共感”です。
FeatU: 10年後、どんな文章を書いていたいですか?また、社会に望むことは?
翼祈: 正直、複数の病気が重複して影響が発生するので、10年後のことは考えていません。ただ、障害をお持ちの方や発達障害の方に深く取材して書けるライターにはなりたいです。
社会については、当事者が一生懸命発信しても、世の中では障害に対してネガティブな意見も多く、どうしても他者との乖離があると感じます。心の病気は誰でもなりうるものです。後天的なものは、他人事ではありません。偏見は多いですが、「誰でもなりうる病気だ」と意識してほしい。そうすることで歩み寄りが必要だと感じています。建設的に議論し合い、この問題を深めていけたらと思います。
FeatU: 最後に、この記事の読者に届けたいことは?
翼祈: 私はデザインのことは詳しくないですが、TANOSHIKAにはライター、デザイン、コーディングの仕事があります。TANOSHIKAに就職したくて体験に入ったときに、デザイナーさんから名刺を作ってみないかと言われて。作ってみたら「すごいね」と言われて嬉しかったことがあります。デザイナーさんはプロフェッショナルですごい。見えない努力をしているし、心を動かされるデザインを見たときに感動し、尊敬しています。
今後はライターとしてだけでなく、デザインについても応援していきたい。FeatUのようなメディアが、そうしたデザイナーさんの“見えない努力”に光を当ててくれることを期待しています。
FeatU: 本日はありがとうございました。私たちは翼祈(たすき)さんもデザイナーだと思っています。デザインをするうえで、文章や言葉は非常に大切です。FeatUとしても翼祈(たすき)さんの想いを実現できるお手伝いをできるよう、今後も、一層の努力を重ねてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
翼祈: ありがとうございました。
良いデザインが人の心を動かすように、良い言葉もまた誰かの人生に小さな光を灯す。翼祈さんが書き続けてきた1000以上の記事は、その積み重ねそのものなのかもしれない。
言葉もまた、人の体験をつくるデザインである。
そう感じさせてくれるインタビューだった。
FeatUでは、デザインや表現を通じて価値を生み出す人々の「思考」と「ストーリー」に光を当てています。
作品や実績だけでは見えない、その人ならではの原点や仕事観。これからもSpotlightを通じて、多様なデザイナーやクリエイターの声を届けていきます。
想いを言葉にしてみたい方は、インサイトメディア『FeatU』インタビュー募集フォームからぜひお気軽にご連絡ください。
次は、実践のステージへ。