なぜ企業は100人のデザイン組織を作るのか

Designship 2025で見えたデザイン投資の現在地

2025年のDesignshipで印象的だったのは、デザインツールの話でもAIの話でもなかった。

むしろ目立っていたのは、企業がこれまで以上にデザインへ投資しているという事実だった。

会場には、金融、保険、HR、SaaS、コンサルティングなど、多様な業界の企業が集まっていた。

かつてデザインは「最後に見た目を整える工程」と考えられていた。

しかし現在、多くの企業はデザインを経営資源として扱い始めている。

なぜ企業はここまでデザインに投資するのだろうか。


デザインはコストではなく競争力になった

ひと昔前まで、デザインは広告やWebサイトの制作費として扱われていた。

しかし現在は違う。

プロダクトの体験。

ブランドの信頼。

組織の意思決定。

業務プロセス。

採用体験。

顧客接点のほぼすべてにデザインが関わっている。

企業にとってデザインは「飾り」ではなく、「競争優位をつくる仕組み」へ変わった。


なぜマネーフォワードは100人以上のデザイン組織を持つのか

Designshipで登壇したMoney Forwardの伊藤セルジオ大輔氏は、デザイナーの仕事を「未来を描くこと」と表現した。

印象的だったのは、デザイン組織の規模そのものだった。

100人を超えるデザイン組織。

これは単にUIデザイナーが100人いるという話ではない。

UXリサーチ。

ブランド。

サービス設計。

デザインシステム。

組織デザイン。

多様な専門性がひとつの組織として機能している。

企業は画面を作るために100人を雇っているわけではない。

未来を設計するために投資しているのである。


CDOが増えている理由

近年、多くの企業でCDO(Chief Design Officer)が誕生している。

その背景には、経営課題そのものが複雑化していることがある。

DX。

AI活用。

新規事業。

組織変革。

どれも正解がない。

だからこそ、

「何を作るか」

ではなく、

「何を目指すか」

を設計する役割が必要になる。

その役割を担い始めているのがデザインである。


採用で見られているものも変わった

note CDOの宇野雄氏は、

「ポートフォリオだけではデザイナーの価値は測れない」

と語った。

企業が求めているのは、美しい成果物だけではない。

課題を発見する力。

関係者を巻き込む力。

異なる意見を整理する力。

つまり、

「一緒に未来を作れる人か」

が問われている。


デザイン投資の本質

Designship 2025で見えてきたのは、企業がデザインを重視するようになったという単純な話ではない。

企業が向き合う課題そのものが変わったのである。

不確実性が高い時代において、

論理だけでは未来は描けない。

感覚だけでも未来は描けない。

必要なのは、

ビジネス。

テクノロジー。

クリエイティブ。

その接点を設計する力だ。


デザインは経営の周辺ではなくなった

Designship 2025を通して感じたのは、

デザインが広がったのではないということだった。

むしろ企業活動の中心へ近づいている。

だから企業はデザインへ投資する。

だから100人規模の組織をつくる。

だからCDOを置く。

そしてその流れは、これからさらに加速していくはずだ。

デザインは、見た目を整える仕事ではない。

企業が未来をつくるためのインフラになりつつある。

次は、実践のステージへ。

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